血管造影 Angiography

血管造影とは…?

 鼠径部(大腿部)または上腕部の血管(動脈/静脈)からカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、その先端を目的とする血管まで進めた後、造影剤というX線を吸収する薬剤を注入しながら、その目的部位へX線を照射して連続撮影します。
 造影剤を注入することにより普通のX線写真では描出できない血管走行・血管内病変及びその性質などを診断することができます。
 最近はIVR(InterVentional Radiology)という血管内に挿入したカテーテルを用いた血管拡張術や動脈塞栓術など、検査と同時に治療をする手法が盛んに行われています。

 当院では血管造影を行う装置である血管撮影装置を3台導入していますが、全てFPD(Flat Panet Detector)を用いています。
 FPDとはX線を受け取る検出器のことであり、これを用いることにより従来型と比較して低被ばくでありながら高画質な画像を得ることが可能です。また、2D(2次元、平面的)撮影だけでなく3D(3次元、立体的)撮影も可能で、血管や腫瘍などの目的部位が正確に判別できるため、治療の正確性が向上します。

~第1血管撮影室~

 2013年4月に導入されました。当院では主に循環器領域の検査・治療に用いられています。検査内容として、心臓を取り囲む血管である冠動脈の狭窄を検索する冠動脈造影検査(CAG)や狭窄した血管を拡張する経皮的冠動脈形成術(PCI)、ペースメーカー植込術といった治療などが行われています。

第1血管撮影室

経皮的冠動脈形成術(PCI):治療前(左)、バルーン拡張術(中)、治療後(右)

~第2血管撮影室、第3血管撮影室~

 第2血管撮影室は2014年4月に導入、第3血管撮影室は2019年4月に導入されました。
 脳神経外科、血管外科、消化器内科、放射線科など多くの領域で活躍しています。こちらの装置では主にDSA(Digital Subtraction Angiography)という血管のみが映る手法を用いて検査・治療を行っています。
 検査内容として、脳動脈瘤に対してのコイル塞栓術や肝臓癌に対しての肝動脈化学塞栓療法(TACE)、四肢の狭窄した血管に対する血管拡張術など様々な検査や治療に用いられています。

~ハイブリット手術室~

 ハイブリット手術室とは血管撮影装置が設置された手術室のことをいいます。
 当院では2010年8月にArtis Zeegoという多軸血管装置が導入されました。血管撮影装置が手術室に設置されたことにより、内科的治療と外科的治療の両方が同時に行えるようになりました。これにより手術の幅が広がるだけでなく、患者さんの負担を減らすことが可能となりました。

 また、こちらの血管撮影装置は多軸という名のとおり、装置をあらゆる角度に動かすことでが可能となっています。そのため、様々な角度から目的部位へのアプローチができ、あらゆる検査・治療に対して威力を発揮します。
 当院では胸腹部の大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術や頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術、下肢の閉塞性動脈硬化症(ASO)に対するバイパス術などが行われています。

ハイブリット手術室

腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(EVAR):治療前(左)、治療後(右)